移住者:遠藤康子さん
「日々の充実感のベースにあるのは、人と人とのつながりですね」
そう語るのは、小美玉市に暮らして22年の遠藤康子さん。現在遠藤さんは、自衛官のご主人、大学二年生の長女、高校二年生の次女、中学三年生の長男、そしてトイプードルの男の子の6人家族で暮らしている。母として日々忙しく家庭を切り盛りする一方で、小美玉市のママさん4人組の読み聞かせボランティアグループ「おはなしテルテル」でも活躍中だ。
そんな遠藤さんは、鳥取県米子市出身の移住者。実家や東京での暮らしを経て、結婚を機に当時ご主人が務めていた百里基地のある小川町(現・小美玉市百里)に移住。その後借家を見つけ、現在住んでいる玉里村(現・小美玉市玉里地区)に引っ越し。今では、遠藤さんにとって小美玉は人生の中で一番長く住んでいる場所となっている。
小美玉には、新鮮な野菜や四季折々の景色といった地域の魅力があるが、それ以上に、遠藤さんの暮らしに充実感をもたらしているのは、地域で生まれる人と人とのつながり。
玉里地区のご近所さんたちは、遠藤さんが移住してきた当初から、いつも気にかけてくれたそう。子供が生まれてからは、地域の幼児育児教室で知り合った、自分と同じ境遇の母親たちとも仲良くなり、ときにはお互いに子どもをを預かり面倒を見るなど支えあうこともあった。
「子育てで大変だった時期に助けてくれたのが、子育て中のお母さんたちでした。大変な時に、物理的にも、精神的にも、何度も助けてもらったし、元気もたくさん分けてもらいました」
小美玉での暮らしをはじめてしばらくしたころ、家を購入するタイミングがあり、遠藤さん夫婦は同じ地域の中で購入。その決め手になったのも、地域の中で互いに声を掛け合える人のつながりがあったから。さらに、地域のお母さんの同士の交流の中で、互いに支えあいながら子どもたちを育てていくのが、遠藤さんにとっての育児の原点でもあるそうだ。
「当時出会った人たちとは、20年たった今でも付き合いがあるんですよね。小美玉の自然や食べ物はもちろん魅力的。でもそれ以上に、人と人とのつながりが、私にとってのエネルギーです」
そして、そんなお母さん同士のつながり中で2009年に結成されたのが、現在も遠藤さんが精力的に取り組んでいる読み聞かせボランティア「おはなしテルテル」。幼稚園や保育園、介護福祉施設などに訪問し、「下は0歳から上は何歳でも」という幅広い年齢層に読み聞かせ会を開催。紙芝居や影絵をすることもあれば、お母さん向けの読み聞かせ講座も行う。さらに、遠藤さん自身、PTAの研修で講師を務めることもあるそうだ。
活動の頻度は、多いときには月10回にもなるそうだが、遠藤さんは「お願いされると応えたくなる」と語り、活動に関する勉強にも積極的。
「高齢者向けに企画するときは、子供とは違う楽しさと安全性が必要。安全に楽しめる企画を学ぶため、レクレーション介護士と介護予防健康アドバイザーの資格を取得しました。歌も効果的に取り入れられるように、音楽療法士の方からも学ばせていただきましたね。読み聞かせはボランティアで続けていますが、まさに『ライフワーク』ですね」
小美玉に移住して以来、地域の人たちとの支えあいの中で子育てを続け、読み聞かせの活動も続けてきた遠藤さん。自身の子育ても少しずつ落ち着いてきた今、これから小美玉で暮らしながら「ずっと子どもと関わる活動をつづけたい」という想いを持っている。
「今は共働きが多い時代だし、お母さんたちも私たちの時代以上に大変なんじゃないかと思います。時間に追われて、子供たちと向き合う時間を作れないのは辛いですよね。だからこそ、小美玉市の育児サポートに加えて、私たちの経験を活かした心のサポートも、何らかの形で提供できればいいなと思っています」