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おみたまくらし

小美玉市と人々とストーリー

2024.02.29 UP
#9
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ブレずに自分の道をいく。拠点に縛られず、しなやかに今を生きる。

井能さんは1994年生まれの29歳。小美玉市で生まれ育ち、高校卒業後は都内の調理師専門学校へ進学。社会人になり、子どものころに憧れていた料理番組の収録に携わるなど、自身の「やりたい」と思うことにチャレンジをし続けた。いつか「自分のお店を持ちたい」という夢を、昨年3月に実現。生まれ育った小美玉市で、空の駅・そ・ら・らの隣にアイスクリームの店をOPENした。

自ら“小さなアイス屋”と呼んでいる、その店の名は「OPPO」。

アイスクリームを食べている4人のキャラクターが目印だ。

井能さんはUターンで戻ってきて小美玉市で生活しているのかというと、実はそうではない。小美玉市と東京の二拠点生活を送っているのだ。お店の営業は週末の2日間。平日は都内近郊で活動しているため、小美玉市へ戻ってきて店を開け、週明けにはまた移動するという日々だ。

「二つの拠点を行き来するのは大変ではないですか?」と聞くと、「自然に二拠点になったんです。イマドキのスタイルという感じでしょうか(笑)」と答える。

小美玉市を飛び出した10代

高校卒業後は東京へ行きたくて、調理師の専門学校を選んだ。両親に「家を継いで欲しい」と望まれていたという井能さん。「家を継ぐ」という考え方に、自分の将来を決めつけられているような違和感を覚え、「自分の人生は自分で決めていきたい」と小美玉市を飛び出した。

専門学校卒業後は同校に就職し、学生を教える補助を行うほか、子どものころから見ていた国民的アイドルの料理番組の収録にも携わった。

社会人になってからは一つの仕事に固執せず、「やりたい」と思ったことに貪欲にチャレンジし、タフに取り組んでいった。テレビ番組の収録で不規則な生活をしていたときも、週末には興味があったウエディングの仕事を入れたり、仕事が終わってから和食のお店を手伝ったり。ジャンルを問わずさまざまな経験を積んでいった。

「尖っている言い方をすれば、若いうちに周りと差をつけたかったんです」と照れくさそうに笑う。

きっかけは、地元柿農家の友人との再会

社会人として7年目。飲食のベンチャー企業で、フードイベントを管理するポジションでの仕事をスタートさせた矢先、世の中はコロナ禍になった。やりたいことができないジレンマと、できることは全てやってきたというタイミングが重なった2021年、ふらっと地元に帰省した。

歴史ある八郷の柿農園を20歳で継いだ友人の元に、柿の収穫を手伝いに行ったのだった。その農園は「何かをやりたい」と自ら行動を起こす同世代が集まる場所でもあった。収穫を手伝いながら、「こういうことがやりたいんだ」「同級生は今こんなことをしてるよ」と話しをする中で、井能さんは触発され茨城で事業を起こすことを意識した。

そんな中、柿農園の友人が長年抱えている「食品ロス」の問題について、「アイスクリーム」にして活用してはどうかと考えた。アイスクリームなら老若男女が食べることができるし、保存もきく。まずは「やってみよう」と早速アクションを起こしはじめた。

事業計画を立てているタイミングで、小美玉市主催の「参加者のやってみたいを応援する伴走型プログラム~OMITAMA YATTEMIRU PROJECT~」に出会い、すぐに申し込んだ。都内からプロジェクトに参加するために、半年間小美玉市に通いつづけた。

市内の羽鳥駅前で行った実証実験マルシェでは、柿のアイスクリームを試作して提供。フィードバックでは、東京でマーケティングをしている講師に厳しい言葉をかけられたが、その後も試行錯誤を繰り返し、商品づくりを進めた。

2023年、アイスクリームのお店を小美玉市に

店名の由来は英語で「Oppotunity=機会、きっかけ」の頭の部分をとって「OPPO」。

「お店を開くまでにいろんな人と出会い、たくさんの“きっかけ”をもらってきました。これから自分と出会う人やこのアイスクリームが、“誰か”の“何か”の“きっかけ”になったら…という想いを込めてつけたんです」と井能さん。

ポップな4人のキャラクターは、友人に描いてもらったもの。着色料や香料なども入れていないので、赤ちゃんからお年寄りまで「安心して食べてもらいたい」と、年代の違う4人がアイスクリームを食べている姿で表現した。

商品化したアイスクリームは約30種類。店頭では常時5種類ほどのフレーバーを並べる。ミルクやタマゴなどのスタンダードな種類の他には、季節によってトウモロコシやトマト、ジャックフルーツなど珍しいフレーバーもある。

「定番も置きつつ、尖っているところもブラさず、自分の信念を持ってやっていきたいんです」と笑う。

友人の「柿」を使用したアイスクリームは、クリームチーズや甘酒を合わせるなど、オリジナリティが光る人気のフレーバーとなった。地元に残り家業を受け継いだ友人と、上京して経験を積んだ井能さん。異なる人生を歩んだ二人がタッグを組んで、新たな価値を生み出した。

こだわりをもった自分軸でしなやかに

昨年はお店を開いたことでゼロからイチへ、今年はそのイチをどうやって伸ばしていくか。集客や売り上げの問題は周りの環境ではなく、自分の集客力・商品力の問題だときっぱり。状況を分析して自分の中に落とし込み、必要なところを改善していきたいと、ひとつひとつ言葉を選んで説明する。

「行動するのは得意ですが、計画を立てるのは苦手で…。でも今年度は売り上げ目標を立てて、週1回の試作も進めるつもりです。イベントにも積極的に参加し、集客面や店舗の見せ方、発信面なども考えていきたいと思っているんです」と意気込みを見せる。

井能さんは自分の思いに常に真っ直ぐに向き合い、その持ち前の行動力を活かしてさまざまな経験を積んできた。これからもしなやかな自分軸で次のステージへと進んでいくのだろう。

小さなアイス屋OPPO 小美玉市山野1657-4

営業 11:00〜15:00(土日のみ)連絡先 070-8548-9466

※営業日はインスタグラムでご確認ください。

https://www.instagram.com/oppo_3peace/


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