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2021.11.24 UP
#07
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小川珠算計理塾

技を継ぐ

長い年月をかけて叩き込んだ技と、磨き抜いた感性を駆使し、 私たちを魅了する伝統の技には、日本人の美徳が刻み込まれています。 小美玉にも、そんな伝統の技を受け継ぎ、次代につなごうとする匠たちがいます。 人生をかけて伝統の技を継ぐ、3組の家族を取材しました。

今回の記事で紹介するモノ・コト

−祖父〜父〜子 3代に渡る珠算一家−

親子代々が通う塾に

小沼美月さんは、毎朝午前5時半に起きて祖父の俊夫さんの家に通い、小学校が終わると塾に直行して夜8時過ぎまで珠算と暗算に打ち込む日々。 超難関の暗算十段に合格した後も、 次の目標である珠算十段合格を目指して休むことなく特訓を続けています。
小川珠算計理塾は、俊夫さんが1952年 (昭和27年)に開設しました。理想に掲げたのが「親子代々が通う塾」。65年経ち、今は孫やひ孫の世代が通い、夢が叶ったと言います。そろばんは40年前に電卓が登場しても、教育現場から消えることはなく、1938 年(昭和13年)から80年以上も全国の小学校で教え続けられています。
美月さんの父で小川珠算計理塾の現塾長、小沼光浩さんによると、「日本の伝統文化を守るという意味だけでなく、そろばんが算数で指導されていることに意義がある」そうで、数学的な理解力が高まり、珠算式暗算力が身に付きます。
そろばんは、今や世界100か国以上で指導され、スマートフォンのアプリ上で動かす「デジタルそろばん」も登場。光浩さんは「数や算数への興味 関心を高め、世界へ目を向けるきっかけとして、そろばんを積極的に活用していきたい」と語っています。
継ぐことに反対された過去

「この家に生まれたら当然やるものと思ってそろばんを始めた」と話す光浩さん。暗算十段よりもさらに難関の珠算十段も持つ腕前ですが、元々はマスコミ志望だったそうです。大学で東京に出て見聞を広め、友人からもその技術を生かすようアドバイスを得て、珠算塾を継ごうと心境が変化しました。喜ぶだろうと思って俊夫さんに「継ぎたい」と伝えると、予想に反し反対。俊夫さんは「本心は嬉しかったけれど、自営業は大変なことも多いから」と当時を振り返ります。光浩さんは専門学校で教鞭をとることになり、4年間勤務した後に塾を承継。
「これが良い社会勉強でした。この時間がなかったら、今もこの塾を続けられていたかどうか分かりません」。そろばんの先生になりたいという学生にも、まずは社会に出るようアドバイスしています。

毎回6,000人が受験してほぼ10人しか合格できないとういう超難関の暗算十段に、小学5年生(当時)で合格した小沼美月さん。

答えを書きながら次の問題をみて頭の中のそろばんを動かしているため、鉛筆が止まらない。暗算をしながら会話をすることもできる。

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