決め手は小美玉のバランスの良さ
茨城町出身の遠藤(えんどう)さんが小美玉市へやってきたのは2006年のこと。市内に茨城工場を構える岡田板金株式会社への転職をがきっかけだ。岡田板金は金属加工を専門とする会社で、現在遠藤さんは溶接部門の管理職を務める。機械のオペレーションからシステムの整備、製品テストまで部門を超えて活躍する忙しい日々だ。
そんな遠藤さんは、仕事を終えて美野里地区にある自宅へ戻ると、たちまち2児のお父さんの顔になる。家では担当家事だという料理の腕をふるい、妻や子どもたちと共に地域のバレーサークルへの参加、「みのり太鼓」と呼ばれる地元の和太鼓団体の練習にも顔を出すなど、地域での家族や知人との充実した時間を楽しんでいる。
「頼られたり、新しいことに声をかけられたら、なんでも乗ってみる方なんです。分からないことを気軽に相談し合える『ママ友』も近所にたくさんできて、子どもを通して知り合った方や、地域で活動をされている人の関わり合いが、いつの間にか増えてきました」
と遠藤さん。今では子どもや妻が一緒でなくとも参加するようになった活動も少なくない。
小美玉市で充実した毎日を送る遠藤さんだが、市内に家を持つことにした理由のひとつは、子育てを見据えた際の「住環境と余暇の選択肢のバランスの良さ」だったのだそう。自然が身近で、かつ県内外へのアクセスの良さが魅力的だったと話す。
自宅があるのは羽鳥駅にほど近い住宅街で、病院や保育所、食料品店などが歩いていけるエリアに揃っているのが心強い。電車やバスといった公共交通機関への接続に不便がないことも子育てをするにあたっての大きな決め手となったそうだ。
「駅の近くに家を持つことに決めたのは、子ども達が一人でも出かけられる年齢になった時、あるいは友達とどこかに遊びに行きたくなった時、電車で移動できた方が活動範囲がぐんと広がって、色々な経験を積めるかなと思ってのことです。また、今後も長く暮らし続けることを考慮すると、僕らが高齢になった時、自家用車以外の移動手段が身近にある方が安心かなとも考えました」
多彩な趣味。とにかくなんでもやってみたい
「子ども達の経験の機会のため」
遠藤さんが理由のひとつにそうあげたのは、自身がフットワークも軽やかに市内外を飛び回ってチャレンジする人であることも関係がありそうだ。お話を聞くと、遠藤さんの趣味や興味の多彩さと行動力には驚くばかりなのだ。
料理をするのも食べるのも好きで、美味しいもののためには仕事終わりに数時間車を走らせることも厭わない。休日にはスポーツに、楽器、ドライブと楽しみ、時に家電の修理や、自家用車やバイクのカスタマイズさえも自らの手で行うらしい。
最近、何かと時間をとることが多いのは「ネイルアート」で、知人から製作の依頼があるほどの腕前。元々は、仕事の作業時に自身の爪が割れないよう補強するため揃えた道具だったのが、今ではもっぱらママ友たちに向けてネイルチップを作成しているのだとか。
「はじめたきっかけは、コロナ禍で、外出の機会が少なくなった妻やそのママ友達が気詰まりを感じているのに気がついたから。少しでも気分転換して喜んでもらえたらと、道具も買い足してネイルアートの練習をはじめたんです」
今も「卒入学式へ出席用のネイルチップ」というママ友からの依頼分の制作が控えているのだと教えてくれた。
「とにかくなんでもやってみたい性格なんです」
遠藤さんは、楽しそうに話す。
仕事に子育て趣味と、忙しい日々を過ごす中でも、常に全速力で日常を楽しんでいるように見える遠藤さん。はじめてのことに挑戦したり、新しいコミュニティへ飛び込むのは中々エネルギーがいることのようにも思えるが、それをどんな時も軽やかに行うことができる秘訣はあるのだろうか?
お話を伺ってみると、遠藤さんから返ってきた答えは「食わず嫌いをしないこと」だった。
「僕は自分が知らないものに出会うと、例え周囲の人が敬遠しがちなものだとしても、試しもせずに『きらい』だと思うのは嫌なんです。一度試してみて自分にあっていたら出来ることが増えてうれしいし、ダメだったら、それはそれでこれは合わなかったと『分かる』。趣味でも仕事でも、それが理解できたら『次を頑張ろう』と思うことができるでしょう?そう思うと、あまり大変だとも怖いとも思わないのかもしれません。それに、自分がなんでも経験することで、子どもたちに伝えられることも増えるのではないか、そうも考えています」
そんな父の背中を見て育ち行く子どもたちは、小美玉で両手いっぱいの経験を重ねてゆくに違いない。
「今後は、一時中断していた趣味のロードバイクを再開して大会にも出たいし、釣りもしてみたい。もちろん釣竿を作るところから自分でやりたいんです」
挑戦したいことは、まだまだ尽きそうにはない。
小美玉を拠点に、遠藤さんの忙しい日々は続いて行きそうだ。